父の病気のことをカミングアウトして数日。父との時間の大切さを改めて感じています。
ただやり過ごしていた時と違って、記録しようという気持ちによって、かけがえのないこの時間を噛み締めることができているような気がします。
父は緩和ケア病棟に移ってからというもの、少しずつですが食事を食べるようになり、冗談を飛ばす元気も出てきました。
母は喜んで「家に帰れる日も近いね」「早く孫と庭でサッカーしてほしい」と言います。
私は顔で笑いながら <そんな日は来ないよ> と心で思います。
ひどいでしょ。
帰れないよ。だって、自力で座れないんだもん。
ご飯を食べたら体力ついてサッカーできるようになる?なるわけないよ。玄関まで歩いて行けないってば。
希望は捨てないけれど、期待はしない。現実を受け止めて、回復をしないと覚悟を決めて向き合う。癌は辛いけど優しい。私にこの現実と向き合う時間を与えてくれています。
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最近、看取りについて考えるようになりました。
そして人間の終末期に起こる体の変化について調べました。
食欲が落ちる、痩せる、外の世界に興味がなくなる
からの、体のバランスが崩れて血圧や心拍数、呼吸数、体温が不安定になる
さらに、気管の運動が弱まって痰が絡みやすくなる
そして、脳内が酸欠状態になって幻覚を見る
最終的に、尿が出なくなる、下顎呼吸になる など
もちろん回復することを期待したい。だけど、期待通りにならず逝ってしまった場合、私はその現実を受け入れられず、ああすればよかったこうすればよかったと後悔すると思います。
それよりは、ゆっくりと体調が悪くなっていくところに気持ちを寄り添わせて、今できることをしたい。
これからどうなっていくのか、知っておくことで父の求めることを理解してあげたい。
そんな時思い出したのが、出産。
妊娠してつわりがあって、お腹が張ってきて。6か月くらいには胎動を感じて。8か月くらいでつわりが落ち着いて、陣痛がどんなものでどれくらい痛いのか。産後、赤ちゃんがちゃんと成長しているか、首が据わったってどんな状態のことなのか、最初に食べさせていいものは何かなどなど。あの時は赤ちゃんについて知らないことを一生懸命調べて、赤ちゃんに寄り添って育ててきました。
今、私は自分がしてもらったことを親に対してしてあげる番です。
食べたくないなら食べなくていい。私の話を聞きたくないなら聞かなくていい。きついなら立って歩かせようとは思わないし、痰が絡むなら点滴を減らしてもらおう。
今の状態を理解してあげたい。赤ん坊だった私にしてくれた時のように。
大きく息を吐き出して産声を上げた私が、父がそっと息を引き取るのを見守るんだ。それが、一年後でも、一か月後でも、明日でも。
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